０戦はやと　　　著者　辻なおき

若木書房　全５巻

　この本は昭和４８年から辻なおき０戦シリーズの中で発行されました。シリーズでは他に「０戦太郎」が発行されています。
　アニメがマイナーならこの本も超マイナーかもしれません。連載は昭和３０年代だと思いますが、この時代は戦記コミックが人気で少年の心をとりこにする華やかな戦いの物語が繰り広げられていました。
　戦記コミックで有名なものは吉田竜夫「忍者部隊月光」、貝塚ひろし「ゼロ戦レッド」などがあります。
　この頃のおはなしは悲惨な敗戦の予感もさせぬ主人公たちの痛快な活躍が目立っていました。しかし時代とともに太平洋戦争末期の悲壮な戦いを描いた戦記コミックが描かれるようになりました。その代表がちばてつやの「紫電改のタカ」であり、貝塚ひろしの「ゼロ戦行進曲」でした。
　戦記コミックはそののち衰退を辿り、昭和４０年代後半からは貝塚ひろしの「烈風」や本宮ひろ志の「ゼロの白鷹」などを最後に誰も描かなくなりました。現代では架空戦記コミックが多く描かれていますが、ヒーロー不在のメカニック優先であり、少し淋しい気持ちになります。

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