デビルマン
著者 永井 豪


講談社 KC 全5巻

 永井豪の代表作です。少年マガジンにそれまで連載していた「オモライくん」に代わって連載が始まりました。「キッカイくん」「オモライくん」などのギャグ路線からいきなりのシリアス路線変更に読者は驚いたものです。

 アニメ版は正義のヒーローのイメージが強く、デーモン族の妖獣との戦いがメインになっています。
 また、アニメは不動明にとりついたデビルマンが美樹に一目ぼれし、人類滅亡の使命なんてどうでもよくなっちゃうという、岡惚れへなちょこ物語です。
 「俺は美樹との愛に生きるんだー、使命なんてくそっくらえ!」と開き直るデビルマンは笑わせてくれます。そのためにデーモン族の裏切り者として次々と殺しにくる妖獣と戦わなければならないという話で、そりゃ自業自得じゃないの?という気がします。
 一方原作はダークヒーローといった感が強く、デビルマンは最後には人間に幻滅し、反旗を翻します。

 もともとはアニメ企画であり、アニメと雑誌連載がほぽ同時進行だったため、それぞれがまったく違った展開を見せています。特にアニメ終了後は連載が読者の思いもしなかった方向に向かいます。
 特筆すべきは原作のみに登場する飛鳥了という明の親友の存在であり、物語後半では重要な意味を持っていきます。この了こそ後述する「デビルマンシリーズ」におけるもうひとりの主人公です。

 アニメ脚本を担当した辻真先も「原作の展開を知っていればもっと違うものができたのに」と残念がったという話があります。
 アニメしか知らないという方はぜひ原作を読んでみてください。アニメでは描かれなかった永井豪が「デビルマン」に託したテーマが理解できるはずです。

 さて「デビルマン」のコミックスは連載中に講談社のKCから全5巻で刊行開始されました。こちらはほぼ連載と同じ内容になっています。AKI は雑誌は断片的にしか読んでおらず、コミックになってから初めて通して読んでみて、その結末に驚いたものです。特にラストページには衝撃を受けました。このオリジナル版は完全復刻版が10年前に出ましたがそれも入手困難になっているようです。上の写真はオリジナルの旧版です。

 現在、読むことのできる「デビルマン」は連載終了後に読み切りで6本連載された「新デビルマン」を物語の間に組み込み、加筆された編集版です。加筆のみではなくコマも修正されています(たとえば明や美樹の鼻の高さも一部描き直しされています)。
 プロローグとして太古のデーモン族の戦いの描写から始まり、了の父親?が氷河の中のデーモン族を発見するまでが加筆されています。オリジナルは冒頭から主人公の登場でした。



講談社漫画文庫 全5巻

 これは現在比較的入手が容易な文庫版です。デビルマンの編集版は83年にKCスペシャル全5巻が出た際に編集されたもので、文庫も内容は同じです。


 デビルマンの物語は「新デビルマン」で終了しましたが、作品世界は「デビルマンレディー」やトリビュート的な「ネオデビルマン」に引き継がれています。






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