レディジョージィ
原題 「ジョージィ!」 原作 井沢 満  漫画 いがらしゆみこ





小学館フラワーコミックス 全5巻

 昭和57年から週刊少女コミックに連載された漫画です。なぜはじまりの舞台がオーストラリアなのかは、原作者の井沢満がオーストラリアに住んでいたこともあるからでしょうか。

 いがらしゆみこには他に「キャンディ・キャンディ」のヒットがあります。その後も同じ原作者とは何作かコンビを組んでいますが、現在、関係が悪化しています。
 「ジョージィ!」の井沢満とも後にテレビドラマ「とっておきの恋人父子」の漫画化でコンビを組んでいますが、やはり現在の関係は悪化しているようです。

 AKI の買ったものは58年〜のアニメ放送時のものです。フラワーコミックスは当時お気に入りの作家の本をかたっぱしから購入しており、いがらしゆみこも「キャンディ」でファンになったのでチェックしていました。

 その後「ジョージィ!」は中央公論社の愛蔵本で全1巻の大型サイズで出たり、全3巻で文庫化されましたが、現在は絶版になっています。「キャンディ」と同じく再版が難しいようです。
 ただ「ジョージィ!」は「キャンディ」と違って中古本で比較的入手しやすいのが救いです。



小説 ジョージィ! 
著者 井沢 満  イラスト いがらしゆみこ



小学館プチノベルズ 全1巻

 さて、これは「ジョージィ!」を小説化したものです。コミックの最終巻とほぼ同時に出版されています。著者はもちろん原作者の井沢満です。現在は絶版で復刊の希望が多いようですが、イラストを使っての復刊は難しいと思われます。

 内容はコミックとほぼ同じですが、ラストが少し違います。当時のファンは2通りの違ったジョージィを楽しめたわけです。
 コミックではアーサーはジョージィにオーストラリアで再会するまで、アベルの死を知らなかった設定になっています。ところが小説ではジョージィがケビン爺さんに宛てて書いた手紙でアベルの処刑を知っていました。
 一旦は死のうと思ったアーサーでしたが、ジョージィの愛した人を死なせた責任を感じ、詫びを言うために自殺を思いとどまったとあります。そして再会したジョージィの目の前でピストル自殺を図ろうとするのです・・・。

 ラストの違いは原作者の意図でしょうが、AKI の好みとしては、小説版の方がよりドラマチックでよいと思います。しかし詫びを入れて死ぬためだけにジョージィと再会するのを待っていたなんて…重すぎるぞ!アーサー(;>_<;) 




モグベエ談

 この作品は当時、アニメをかなり入れ込んで見ていました。
 「キャンディ・キャンディ」でいがらしゆみこの絵にほれ込んでいた私はアニメ雑誌でジョージィのキャラクターデザインを見て、キャンディに似ている彼女に興味しんしん。「舞台はオーストラリア」と聞いて、もともとオーストラリアに憧れていた私はさらにのめりこみそうな予感がしました。
 さらにストーリーも面白そうだし、スタッフのインタビュー記事に「性の問題もとりあげる」とあって、これは見なくては!と決心を固めました(笑)・・・いえ、下世話な興味ではなく(←本当か?)、まだアニメは子供のものと思われていた時代、性をどう扱うのか興味があったのです。

 アニメ放送第1回では、まずオープニングアニメのきれいさに感動しました! い、いがらしゆみこの絵が動いている・・・(*´∇`*)。「キャンディ」のとき、あまりの落差にがっかりしながらも「でも沢山のセル画が必要なアニメでは仕方がないのかな」と結論づけていたので、「今はやればできるんだ・・・」と時代の流れを感じたのです。
 ところが本編でやっと14歳になったときはOPに遠く及ばないデザインに変更になってしまったので落胆しました。が、今思うとわずかでも動くいがらし絵が見られたのはそれだけでも素晴らしいことですね。

 アニメはとにかく進行が遅くてイライラしました。原作のストーリーが始まる14歳になるまでに7歳編、10歳編、12歳編、と19話もかけて延々とやるのですもの。しかも内容がつまらない(;_;)。
 デザインは12歳編が一番自然で好きなのですが、それからわずか2年後の姿が「あれ」ではあまりにも突飛。まるで子供と大人で、視聴者をバカにしていると感じました。

 でも14歳編になってからのストーリーはほぼ原作に忠実で引き込まれました。アニメ嫌いの母も機嫌よく付き合ってくれたほどです。でも終盤になってからは原作を消化できずに終わってしまいました。スタッフが熱を入れていた「性の問題」はどこへ行ってしまったやら。


 話以外で私が不満だったのはサブタイトルのダサさ。中盤から思ってはいましたが、クライマックスになって
第40話 脱出するロエルとジョージィ
第41話 大切な指輪を 売るジョージィ
第42話 ロエルのために 必死に働くジョージィ
第43話 さようなら 愛しいロエル
第44話 父にめぐり会う ジョージィ
としょうもないサブタイトルが続くとさすがに頭が痛くなってしまいましたね(>_<)


 原作は、アニメが良かったら買おうかな、くらいの気持ちでした。(親が漫画嫌いなので、買うには相当の覚悟がいるのですよ(^_^;))
 でも先のストーリーが気になるので連載雑誌をちょこちょこと立ち読みしていました。毎回チェックできないので、どういう経緯でこうなったかわからないままとびとびに読んでいましたが。

 何かに「数奇な運命をたどる少女」とか書いてあったのでどんな運命が?と思っていたのですが、まさか少女漫画で主人公が命まで狙われるなんて・・・とドキドキ。そしてロエルではなくアベルと一線を超え、しかも妊娠!その上アベルが処刑されてしまうなんて・・・。アーサーは囚われて麻薬患者にされてしまうし、ストーリーの激しさに驚きました。
 このあたりがアニメ化されなかったのは、放送時間が夜7時だったのと、先に述べた「アニメは子供のもの」という常識(?)を打ち破れなかったせいでしょうか?それとも単に、原作にアニメが追いついてしまったからでしょうか?いずれにせよ、残念です。


 そして原作はとうとう買わず仕舞になってしまい、今日(2004年2月21日)やっとAKIさんの蔵書で完読しました。切れ切れで謎だらけだったストーリーが繋がって納得・満足です(^_^)


 では、キャラクター別に感想をコメントしてみます。

 ジョージィ:意地悪を言われても明るく言い返すところなどは性格までキャンディですね(^_^) 気に入りました。


 ロエル:どうしてジョージィに一目ぼれしたかの理由が謎でしたが、「幼い日に見た絵の女性がジョージィに似ていたから」ではちょっと説得力に欠けます。普通の恋ならともかく、すべてを捨てての逃避行の原動力としては弱すぎるように感じました。
 ジョージィがロエルをエリーズに返した後、そのまま出てこないので不満に思っていたのですが、アベルを失った後ジョージィの前に突然現れ元気づけたのは良いフォローでした。


 アベル:短気で自分のことしか考えないこいつ(言葉が悪くてすみません)は最初からずっと嫌いでした。対比する存在としてアーサーがいたから余計そう思ったのかもしれません。ジョージィがロエルと別れた後アベルに身体を許した場面を、経緯を知らずに見てしまい「どうしてアベルなんかと!!」と腹立たしくなってしまいました。
 でも通読してみて、彼女がロエルと別れた理由やアベルを強く求めた気持ちが分かり、何となく納得。アベルも終盤性格が良くなり男らしかったですからね。
 処刑が決まったアベルを助けるため皆がダンゲリング公爵の悪事を暴こうと必死だったのに、そして麻薬取引の証拠を持って処刑場にかけつけたのに、ダンゲリングが執行人から銃を取り上げ射殺してしまったのは本当に悔しかったです。その後ダンゲリングが処刑され、父の名誉が回復してもジョージィが悲しみにふけっていたのは当然と言えるでしょう。


 アーサー:自己中心的なアベルに対し、自分よりまず愛するジョージィのためを考え、命がけで彼女を助けたアーサーには当時恋心を抱きました。そのアーサーが麻薬患者にされたのには大ショック!!
 その後がとても気になっていたのですが、今回読んでみて、助け出された直後にテムズ河に落ちて行方不明になったという結末を知り愕然としました。死んだとしか思えない状況を示すだけで遺体を描かないのは読者へのせめてもの救いなのかと思っていたのですが、最後の最後でジョージィと再会できたのは嬉しいどんでん返しでした。
 それから小説版のラストですが、私はこちらの方がいかにもアーサーらしいと思いました。

 小説版は現在、復刊ドットコムでリクエスト投票中ですので興味のある方は投票をお願いします。
   http://www.fukkan.com/vote.php3?no=7779




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