いなかっぺ大将
著者 川崎のぼる


  「いなかっぺ大将」は昭和43年8月号から小学館の学年誌に連載されたものです。当時、学年誌を定期購読していたAKI は第1回を強烈な印象で覚えています。主人公の風大左エ門が修行のため東京行きを決心するまでが描かれていましたが、大ちゃんがハンサムでかっこよくて次回を楽しみにしたものでした。
 ところがどうでしょう!?はじめは熱血ヒーローだったはずの大ちゃんがあっという間にズッコケヒーローに変身してしまいました。当初は「熱血柔道まんが」と銘打って描いていたはずが、いつの間にか主人公が一人歩きしていった感じがします。今では「ズッコケ大ちゃん」として有名ですが、連載半年くらいまではまじめ?に熱血して、顔もかっこよかった大ちゃんです。

 ところがズッコケ大ちゃんも大人気で、学年誌でアニメ化決定を知り、大ちゃんファンだったAKI は放送開始日を待ちわびていました。その日の日曜日も朝からソワソワと過ごして、放送される時間にはテレビの前で学年誌を片手に正座して視聴したものです。
 アニメでははじめからどんぐりまなこに口の大きい大ちゃんで、それも面白いと思いました。原作本を持っている人は前半と後半のキャラクターの違いを見ていただければ分かると思います。



虫コミックス 全6巻

 AKIベエ宅にあるのは4種類です。上は昭和45年に虫プロから出版された虫コミックス版です。「いなかっぺ大将」は雑誌コミックスにもなっていましたが、新書版で出た一番古いものです。全6巻ですが、後期のエピソードは収録されていません。その代わりに後年になって単行本化された本には収録されていないエピソードがあります。
 1巻〜4巻までは背表紙に巻数表示がありますが、5巻6巻はサブタイトルがついているだけです。再版分からは1巻〜4巻もサブタイトルのみの表示になりました。




日本文芸社 ゴラクコミックス 全4巻

 上は昭和52年に日本文芸社から発行されたB6判です。
 単行本化されたものは連載順ではなく、このコミックスも1立志編、2奮闘編、3純情編、4試練編と編集されています。
 虫コミックスと比べて後期のエピソードも収録されていますが、西一(はじめ)登場や大ちゃんが故郷に帰ってキャット空中三回転を披露するエピソードなどが収録されていません。




日本文芸社 にちぶん文庫 全5巻

 これは同じ日本文芸社から文庫化されたもので、ゴラクコミックスと収録順が違います。またゴラクコミックスの中のいくつかのエピソードが未収録なのが不満の残るところです。




小学館 My First BIGシリーズ

 2003年に、コンビニ本で出版されたものです。全6巻ということですが、AKI は4冊しか買いませんでした。虫コミックスにのみ収録だった「大ちゃん故郷に帰る」のエピソードが30年ぶりに復刻されました。
 
 他にも違うバージョンのものが数種類ありますが、それぞれに未収録があるようです。また購読された方はわかると思いますが、連載順になっている版はなく、かなり編集されているようです。発表順に収録した完全版の出版を望みたいところです。



それでは最後にモグベエの感想をお楽しみください。
 いなかっぺ大将は私にとって思い出深い作品です。

 大ちゃんとの出会いは、小学校に上がる前年でした。ほんの一時期、親戚の家に居候していたのですが、そのときいとこが購読していた「小学五年生」を借りて読んでいたのです。何冊読んだか忘れましたが、「大ちゃんは大天才? の巻」が笑いどころ満載で、最近読み返したらほとんど覚えていたので驚きました。

 他には柔道部の合宿で海辺を大勢で走っているシーンが印象的で、そのとき打ち寄せる波に合わせて移動するカニを見て「押さば引け、引かば押せ」の心を学び技を開発した、という記憶があるのですが、今確認するとカニは踏みつけるのに失敗しただけで、その動きで技を会得する描写などはありませんでした。この部分はアニメのオリジナルだったのですね。


 やがて小学校に入学し「小学一年生」を読んでいたら「10月3日より『いなかっぺ大将』がテレビで登場!」の宣伝が載っていて私は大喜び!「原作を先に知っていて後にテレビ化」の『はじめて』でした。
 ところがその宣伝の絵が劇画調なので、これはもしやテレビまんがではなくドラマなのかしら?と心配になったものです。

 幸い希望通りアニメで一安心。毎週日曜日夜のアニメを楽しみに見るようになりました。そしていつの間にか、私は柔道をしている大ちゃんに憧れを抱き、自分も柔道を習いたい、と心から思うようになったのです。
 母に話すと「護身術としては合気道の方がいいんだけど・・・」と言いつつ、柔道教室を探してくれました。ところがなかなか見つからず、近所にはないものとあきらめていたのです。ところが偶然、柔道着姿の男の子に道で出会い、教室の場所を聞くことに成功!すでに五年生になっていましたが、早速その春から柔道を習い始めました。

 大ちゃんの得意技が背負い投げであるため、はじめは私もそれを身につけたくて背負いを得意技としていました。しかし今ひとつ技が伸びず、そのうち大外狩りが得意技になってしまいました。

 柔道教室では私が初めての女子だったため男子生徒に珍しがられて恥ずかしかったのですが、それは最初から覚悟していたこと。念願叶って大ちゃんに一歩近づけたことへの喜びの方が大きかったです。また、入ってすぐに2つ下の可愛い彼氏ができたり(当時からショタコンだった(爆))、他教室と合同の合宿で同学年の女子と仲良くなったり、教室からスキー合宿に行ってお楽しみ会の劇をやったりと楽しい思い出がたくさんできました。

 教室はずっと続けるつもりでしたが、翌年の夏に先生の悪ふざけが元で骨にひびが入るケガをしてしまい、それがきっかけでやめてしまいました。今思うと、治ったら復帰すればよかったのに惜しいことをしたものです。

 奇しくも今CSで「いなかっペ大将」が始まったので録画していますが、美理が大きくなってこれを見たらどう思うでしょう?私同様、柔道をやってみたいと言ってくれるでしょうか?


 でも、作品自体は柔道ものというよりギャグ色が強いですよね。私も最初は真面目に柔道に取り組む大ちゃんのカッコよさに憧れましたが、その後は普通にギャグアニメとして楽しんでいました。大ちゃんのズッコケぶりを毎回のように見ても憧れが色あせなかったのは、カッコよさと親しみやすさをあわせ持つ人がタイプだからでしょうね(笑)。

 大ちゃんの悪い癖と言えば音楽を聴くと我を忘れて踊り出すことですが、私は柔道と平行してバレエも習っていました。バレエに憧れたのは大ちゃんと関係ありませんが、柔道と踊り・・・何か縁を感じますね(笑)

 あと、大ちゃんと言えばふんどし。私は何かと言うとはずれるあのふんどしが不思議で仕方ありませんでした。あんなに簡単にはずれるのはギャグ漫画だからでしょうが、そもそもふんどしとはどうやってはめる(?)ものなのか、長年の疑問でした。巨大モグタンも出演した「I Love ナッキー」で郁恵ちゃんが宮脇くんにふんどしの締め方を教えるシーンを見るまでは。


 登場キャラクターでは、西一が憎らしくて仕方ありませんでした。関西弁を初めて聞いたのが西一のセリフだったため、「関西弁→西一→意地悪」という図式が強烈に焼きついてしまい、長年払拭できませんでした。告白しますと、この癖が直ったのはつい最近です(爆)。


 思い出話をもうひとつ。小学5年生のとき、給食の時間にクラスの男子が突然「いいか、聞いてろよ」と言って「ピ〜ロ〜」と口笛を吹き、ゴミ入れのいちごパックを爪で弾いて「大ちゃん数え歌」のイントロ部分を披露してくれたのです!すごくそっくりで皆に大ウケでした。

 


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