ふたりと5人 吾妻ひでお 著 少年チャンピオンコミックス 全12巻 昭和49年〜51年 |
吾妻ひでおは今でこそあまり作品は発表していませんが、当時は数多くの作品を発表し、美少女ギャグまんがの第一人者でした。 「ふたりと5人」は少年チャンピオンに連載されました。貸本で週刊誌をよく読んでいた頃で連載陣の中でもかなり面白かったのを覚えています。 ギャグマンガなのでページ数が少なく(1回12ページほど)、ようやく単行本になって第1巻が発売されたときは、待ってましたと購入しました。本誌は借りて読んで、気に入った作品は単行本で、というのがポリシーでした。 物語は、もてない男の子のおさむくんとその先輩、隣に引っ越してきた美少女たち?が繰り広げるドタバタギャグです。吾妻ひでおの描く少女はかわいいのが定番ですが、この話は5つ子の美少女かと思ったら、なんとパパ、ママ、長女と弟、おばあちゃんが一緒のすがた格好という設定です。死んだおじいちゃんの遺言で代々女装しなければいけないらしいのですが、おばあちゃんまで若作りにしなくてもいいじゃん。名前も全員が「ゆきこ」です。(漢字が違うだけ) 長女めあてのおさむくんの日々の試練が始まります。とにかく同じ容姿なのでおばあちゃんやお父さんを襲うと悲劇ですなぁ。 おさむくんの先輩というのが何を研究しているのかわからない発明の天才、哲学的でひねくれており、少々破滅的なキャラです。登場人物がすべてこんな設定なので、物語はとんでもない方向へ逝ってしまいますが、中でも吾妻ひでお自身が「吾妻ひで子」という女装で出てくるのが笑えます。 おさむくんの思い人の長女のユキ子はわりとまともで、おさむくんにまんざらでもない感情を抱いているのがうらやましくもあり・・・。 連載は長期にわたり単行本は全12巻、吾妻作品の中では長編です。AKIはなぜか2巻以降は購入せず、10数年後に就職してから突然続きが読みたくなりました。単行本も見かけなくなり、行きつけの書店で2巻以降を注文したのですが、どうせ絶版だろうとあきらめていたのにちゃんと届いたのには驚きました。しかも発行が7年近く前の昭和55年の重版だったのでますます驚きでした。出版社に在庫で残っていたものでしょうか?というわけで第1巻だけが初版で状態も悪いのです。 現在は当然絶版で古書店でも入手困難です。他の出版社から復刻もされましたがこれもなかなか見かけなくなり、レアな作品のようです。蔵書には少年チャンピオンコミックスで「ちびママちゃん」「チョッキン」もありますが、これも見かけなくなりました。 |