今月のコミックス
アニメ原作以外のAKI の想い出のコミックスを紹介しています。


ガラスの城
わたなべまさこ 著
集英社 マーガレットコミックス 全8巻
昭和44〜46年

 小学生の頃、女友達の家で雑誌に連載されているのを読みましたが、とても怖いと思ったのを覚えています。
 わたなべまさこといえば、その昔呼んだ「はだしのプリンセス」「ハイジ」などのかわいい少女マンガが思い出されますが、少女漫画の大御所でもう70代後半のお年のはず・・・。いまだ現役というのもすごいです。 この「ガラスの城」執筆の頃はすでに40歳で、のちの「悪女シリーズ」などに通じるサスペンスタッチです。

 物語の舞台はイギリス。双子の姉妹、イサドラとマリサは母親と3人暮らし。イサドラは美人なのにいじわるで気性の激しい娘、心優しいマリサとは対照的です。ある日二人は事故で母親を亡くします。母の手文庫の日記帳からマリサが大富豪のストラス・フォード伯爵の行方不明の令嬢だと知ったイサドラは、証拠のペンダントを自分のものにして伯爵令嬢になりすまし、マリサを召使にしてしまいます。
 自分の正体を隠すために次々と邪魔者を陥れるイサドラ。真相を知り、ひどい仕打ちにストラス・フォード城を出るマリサ。イサベラは疑惑を抱きだした父親であるストラス・フォード伯爵をも殺してしまいます。やがてこの愛憎劇はそれぞれの娘にも引き継がれます。親子2代に渡っての悲劇が繰り返されるのです。

 AKIが雑誌で読んだのは前半のマリサがイサドラに城の牢獄へ監禁されるくだりでした。のちに集英社文庫が出たときに「ああ、そういえばこれ昔読んだなぁ」と懐かしくて買いました。
 掲載したものはさらにのちに古本屋で見つけて購入したオリジナル版のマーガレットコミックスです。75年の再版ですでに表紙は紙カバーです。ちなみにマーガレットコミックスは70年代初めまで表紙は絵の付いた厚紙に透明な横線模様のビニールカバーがかかっていました。このカバーは劣化破損しやすく、古本屋でもビニールカバーがない状態のものが多いようです。

 この手の名作は現在でも文庫化されていることが多いのですが、オリジナルを購入するのは、セリフなどの書き換えがないバージョンということと、巻末に現在では読めない短編が収録されていることがあるからです。「ガラスの城」の最終巻にも「慕情」が収録されていますが、これは「わたなべまさこ名作集」でも読めるようです。


2009.3

inserted by FC2 system