今月のコミックス

アニメ原作以外のAKI の想い出のコミックスを紹介しています。


はるかなる風と光
著者 美内すずえ
マーガレットコミックス 全3巻
昭和50年
 美内すずえといえば「ガラスの仮面」の作者として有名です。「ガラスの仮面」は現在42巻におよぶ大長編ですが、それ以前は短編の多い作家でした。「はるかなる風と光」は全3巻ですがそれでも「ガラスの仮面」の次に長い作品です。昭和48年から月刊別冊マーガレットに連載されました。

 この作品はクイーン・エマと呼ばれるようになった主人公の波乱のストーリーです。
 時代は1870年代後半。南太平洋のキング島で貿易商のイギリス人を父に、原住民の酋長の娘を母に持ち、主人公のエマが誕生します。
 混血のエマは島の自然の中でのびのびと育ちますが、8歳になったときに名家の教養を身に着けるためにイギリスへ渡ります。
 時は流れ、エマは陰謀に巻き込まれイギリスを脱出、フランスに渡ることになります。貴族との恋、海賊との出会い。若き英雄ナポレオンに出会い才能を見出されるエマ。やがてエマは生まれ故郷のキング島へ帰り、因習がはびこる島の改革に乗り出します。


 「ガラスの仮面」の大河ドラマ性を予感させる、波乱万丈のストーリー展開は読者を飽きさせません。美内すずえの長編としてはこの作品の後にジャンヌ・ダルクを主人公にした「白ゆりの騎士」があり、1年をおいて昭和51年に「ガラスの仮面」が連載開始となります。

 作品自体は現在、白泉社文庫「美内すずえ傑作集」に収録されており、簡単に読むことができます。しかしオリジナルのマーガレットコミックス版は以前から古書店でも見かけなくなりました。第2巻、3巻に短編「霧のフランツ」「エリーゼの微笑」が併録されています。この2編は文庫には収録されておらずマーガレットコミックス版でしか読めないようです。

 AKIベエ蔵書には「ガラスの仮面」以外の美内すずえコミックスはオリジナルでそろっています。その中には現在の文庫に未収録のままの作品がかなりあります。復刻が難しい思われていた「赤い女神」も文庫化されたのですから、「パンドラの秘密」などの復刻も期待したいものです。
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