今月のコミックス

アニメ原作以外のAKI の想い出のコミックスを紹介しています。


やけっぱちのマリア
手塚治虫 著
秋田書店 少年チャンピオンコミックス 全2巻
昭和46年

 「やけっぱちのマリア」は手塚治虫の少年向け性教育マンガとして知られています。他にも「アポロの歌」「ママァちゃん(ふしぎなメルモ)」などありますが、AKIは「やけっぱちのマリア」が一番好きです。
 何を隠そう、このマリアこそAKIが2次元で初めて異性として意識したキャラクターかもしれません。実際に夢にも出たほどです。

 小学生の頃、漫画は単行本ではなく週刊誌で読むことが多く、少年チャンピオンには手塚治虫の「やけっぱちのマリア」が連載中でした。
 主人公のヤケッパチは番町風を吹かせるちょっと不良の中学生。そのヤケッパチが生み出したエクトプラズムが人形に憑依して出来た女の子がマリアです。
 とにかくしょっちゅう裸での登場、人形といっても実はダッチワイフなので、とてもリアル。当時としては刺激的なマンガでした。AKIもマリアが裸で吊るされて火あぶりになっているシーンがやたら印象が強く、よく覚えていました。
 マリアはヤケッパチの父親の試作品のダッチワイフなのでスペアがなく、寿命が1年というのがポイントです。その間に、マリアを通じてヤケッパチは男と女とは、女の子への思いやり、愛情を学んでいきます。
 最終回はヤケッパチにも好きな女の子が出来て、マリアはボロボロになった自分の体を箱につめて川へ流してほしいとヤケッパチに頼むのでした。マリアの入った箱が川へ沈んでいく別れのシーンは涙、涙でした。
 マリアはヤケッパチの理想の女性の象徴でしたが、現実の女性と向き合ったときに一歩成長して、幼い理想像と別れなければならないという・・・なんとも切ないお話です。

 この本を買ったのは昭和48年で重版ですが、第2巻が無線綴じで背が糊付けになっています。1巻が糸かがり綴じという従来の製本の仕方です。秋田書店はかなり遅くまでこの製本形式だったようで、この頃が変わり目なのかなと思います。
 また、第1巻が「熱血コミックス」、第2巻が「SFコミックス」になっているのが面白いです。当時SFといえば手塚治虫か石森章太郎でしたから。
 実はこの第2巻は乱丁本です。後半の十数ページに渡って隔ページに同じページが印刷されています。ということで、後半まともに読めたのは「手塚治虫漫画全集」で読み直してからでした。当時は出版社に取り替えてもらう方法もよくわかりませんでした。

 第2巻には「オクチンの大いなる怪盗」が同時収録です。これは「やけっぱちのマリア」の前に連載していた「ザ・クレーター」の1編ですが、単行本化のときに収録できなかったものです。チャンピオンコミックスの「ザ・クレーター」には未収録がいくつかありますが、のちに「ミクロイドS」の第3巻にも1編収録されました。


2008.8
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