ベムベムハンターこてんぐテン丸　　　

著者　かぶと虫太郎

講談社コミックボンボン　全３巻

　かぶと虫太郎といえば作画グループ出身の漫画家ですが、この作品は作画グループの作家の中で最初にアニメ化されたものです。聖悠紀の超人ロックなんかはアニメ化しやすいと思っていたのですが・・・。

　さて、お話ですが、自分のミスで逃がしてしまった１０８匹の妖怪を追って異次元の世界から人間界へやってきたテン丸が妖怪退治をするという内容です。
　タイトルを妖怪ハンターではなくベムベムハンターとしたのは現代風です。ベム(BEM)とはBUG-EYED MONSTERSの頭文字をとったもので、元々はエイリアンの別称です。妖怪人間ベムのイメージもあり、ここでは妖怪という意味に使われているようです。物語の中でもベムラーという複眼の妖怪のボスが出てきます。（BUG-EYEDとは昆虫のような飛び出している眼のことで゜す。）

　月刊コミックボンボンに５７年から連載されました。昭和５８年にアニメ化にあわせて単行本化されましたが、アニメは中途半端に終了。最終巻の第３巻はアニメ終了後に発売されましたが、アニメの人気がパッとしなかったのと、ページ数の関係で残念ながら第４巻は発売されていません。第３巻はまったくの途中で終了なので続きが気になります。コミックスはすでに絶版で、現在完全版を含めて復刊が切望されています。

モグベエ談

　私はアニメのＯＰを見て一発で気に入ってしまったのですが、例によって家庭の事情（母がアニメ嫌い）により、テレビはほとんど見られず、再放送にも恵まれなかったので未だに「全話見たい幻のアニメ」です。

　ＡＫＩ家に嫁いで原作を発見したときは「うわぁ！読みたい！！」と本気で思ったのですが、時間がなくて・・・。でも最近、念願叶って全３巻を一気に読みましたヾ(＠^▽^＠)／
（一気にと言っても私のことだから数日かかりましたが）

　原作の絵はアニメそのまんまといった感じで、とても可愛く好感が持てます。まさに私のツボ！（笑）

　主役の名前はアニメでは最初から「テン丸」ですが、原作では最初「テン坊」です（ちなみに姓は「鞍馬」）。
　冒頭でまず「なぜテン坊が妖怪退治のために人間界に来たか」が説明されます。テン坊が108匹の凶悪妖怪を逃がしてしまったので、父親の天狗大王に退治してくるように命じられたのです。
　その際、天狗の象徴である高い鼻を「ボキッ」と折られ「全部退治したら元に戻してやる」と言われてしまうのですが、代わりに５つのアイテムをもらい、妖怪に詳しいクロを見張り役としてつけられます。

　退治すべき妖怪の数が予め決まっていることと、全部退治すれば身体が元に戻るという点は「どろろ」の百鬼丸のようです。また、自分自身も妖怪であること、身内である大王に命じられて、異世界から凶悪妖怪を退治するために人間界に送り込まれたこと、その際お目付け役をつけられたところは「ドロロンえん魔くん」と同じですね。そして退治に出かける際にアイテムをもらう点は先の２作品と共通しています。

　ストーリーは、前半はコメディタッチの短い話が多く、特に第１巻は短編のみ。その第一巻の終わりに出てくる「マジック妖怪　マカフシギ」の正体はとても恐い姿で夢に出そうでした((；ﾟДﾟ)ｶﾞｸｶﾞｸﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

　そしてそれを退治したことを認められて「テン丸」に襲名を許されます。天狗族は一生に３回名前が変わることが説明されるのですが、昔の日本の出世名のようです。そもそも天狗が日本の伝統的は妖怪なのでそんな味を持たせたのでしょう。

　第２巻の「氷の精、クリスタル巻」は必見！クリスタルちゃんという女の子が出てくるのですが、私は一瞬ニーナ姫の登場かと思ってしまいました。ぷにぷにしていて可愛いくて、ロリ好きな人は萌えられること間違いなしです（笑）
　でも内容はハラハラドキドキあり、涙ありで意外とシリアス。敵のボスのべムラーも登場し、敵が結束していることが分かります。

　そしてテン丸の幼なじみで竜神族の姫であるニーナが登場！語尾に「プリン」とつけるのは「プリンセス」の「プリン」なのでしょうね。

　特筆すべきはヘビ男。凶悪妖怪なのですが、ずる賢く、自分を助けてくれたニーナ姫までだまし、死ぬような目に合わせるとんでもないヤツです。でも仲間にだまされたのに気づき、一度はテン丸を助けるのですが、今度は「仲間を裏切った」と処刑されることに！身体の養分を吸い取る寄生タマゴをくっつけられるのですが、またニーナをだましタマゴを押し付けてしまいます。しかし姫はそんなヘビ男をかばうので、ヘビ男もその思いやりに涙し、今度こそ本当に改心した様子。テン丸たちがピンチのときに味方に加わり活躍します。
　私はこの話でニーナの優しさに驚き、感動してしまいました。

　そして第３巻の終わりで強大な敵が現れ、ニーナ姫をさらっていってしまうのですが、コミックスは何とそこでおしまい！これから壮大なストーリーに発展しそうなのに、これではあんまりです！！

　というわけで、「復刊ドットコム」では原作の未収録話を含めた完全復刻版の発刊を求め、復刊投票を行っています。皆さんも是非、貴重な１票を入れてくださいませm(_ _)m
http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=6614

　尚、この復刊の発案者であり、テン丸のファンサイトを運営している来化魔滅さんの「天狗党」では、原作もアニメも詳しく紹介されていますので、是非行ってみてはいかがでしょうか。

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