さよならホセフィーナ
原題 ADIOS,JOSEFINA


作 ホセマリア・サンチェスシルバ



訳 江崎桂子/発行 KKダイナミックセラーズ

 国際アンデルセン大賞を受賞した作品です。作者のサンチェスシルバは映画でも有名な「汚れなき悪戯」の原作者としても知られているスペインの作家です。
 「さよならホセフィーナ」は1961年に発表されました。

 この本はアニメ化の昭和54年に発行されました。日本で紹介された本としては唯一のものだと思います。挿絵はアニメと同じキャラクターを使用しています。アニメ化の内容は原作のエピソードとほぼ同じで、主人公が日本へ行くお話もあります。最後の別れのシーンを読むと原作とアニメのセリフが同じで、感動がよみがえると思います。

 スペインのマドリードが舞台で、主人公のサンチアゴ(アニメではサンティ)の名前が物語の終わり近くまで登場せず、「その子」とだけ表現されています。場面転換が台本のように簡潔に表現してある文章で、アニメ化しやすかったのではないでしょうか?

 少年が幼児の世界から、より広い世界へと成長するさまを描いたメルヘンとしては秀逸です。魔法使いや妖精は登場せず、ただポケットに入るクジラのホセフィーナが登場するだけです。ホセフィーナは大きさも自由自在に変化し、空も飛べますが、サンチアゴにしか見ることができません。

 ホセフィーナが何の象徴なのか、誰にでもある遠い幼少の日の幻想なのか、サンチアゴの作り出した非現実的な産物なのかは読者の想像にゆだねられています。少年がホセフィーナの存在を疑問に思い、現実の広い世界に向けて踏み出すとき、ホセフィーナは自らサンチアゴに別れを告げます。なんとも切ない結末です。

 この本は現在絶版のようですが、もし見る機会があれば読んでみてください。また復刊されることを希望しています。



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