ラ・セーヌの星
著者 森村あすか




KKベストブック社 全3巻



 この本はアニメをコミック化したもので、全3巻となっていますが実は未完です。
 この作品が放送されたのは50年4月ですが、第1巻発行が8月です。第3巻が11月に発行されたあと、アニメは12月で終了しており、そのためか続刊がありませんでした。

 コマ割からすると書き下ろしっぽいのですが、もし連載であったとするとAKI は掲載誌については不勉強です。
 当時、小学館学年誌などには藤原栄子、すずき真弓が執筆する「ラ・セーヌの星」があったようですが、やはり中途半端なもので当然これらは単行本化されていません。

 森村あすかは知名度があるとは言えません。AKI の知っている限りではコミックスが他に2〜3冊のみです。「風雲プロレス30年」「がっぷ力丸」の著者である森村たつおと夫婦で漫画家でしたが現在は書いているのでしょうか?

 絵柄は昔なつかしい少女漫画の絵を踏襲しており、あちこちに稚拙なところも見られます。また、アニメのキャラクターとかけ離れています。
 アニメ作品も「ベルサイユのばら」を意識しているようですが、(実際、2作品を混同している人がいるのはとんでもないことですが)このコミックでもマリー・アントワネットが「ベルばら」にそっくりなのは笑えます。あと、ダントンってこんなにかわいかったけ?(゜∇゜ ;)

 内容もアニメのあらすじをかなり省略したもので、ロベールが国王暗殺の濡れ衣を着せられ国外追放となり、シモーヌがド・フォルジュ家を出てシテ島へ帰ったところで終わっています。話の進行は革命にも程遠いです。第3巻のカバー折り返しには「物語りはいよいよおおづめに」とあるんですけどねぇ・・・(^◇^;) それと、おまけなのでしょうか第3巻の巻末にはアニメの主題歌詞が掲載されています。

 現在この本は絶版で、復刊のリクエスト対象になっているようです。当時はアニメ放送もあり、それなりの部数は出たと思いますが、大手出版社ではないので今では幻の本になっています。読んだことのないラ・セーヌファンは強烈に読みたいと思うのでしょうが、期待して読めばがっかりする気がします。

 AKI としてはもし、続きがあるなら完全版として出してほしいし、学年誌に連載された他の漫画家の作品も復刻して同時収録していただきたたいと思います。

 と、簡単に書きましたがもっと詳しいことは下のモグベエの感想でどうぞ。v(=∩_∩=)




モグベエ感想

 アニメ「ラ・セーヌの星」は本放送当時から注目していました。大好きだったので多分全話見たと思いますし、当時の年齢から推測して内容もある程度理解していたと思われますが、内容は断片的にしか覚えていませんでした。

 一番ショッキングだったのはシモーヌの育ての父母が理不尽な殺され方をしたことですね。主人公の親が逆恨みで殺されるなんて、漫画やアニメでは初めて見たので「本当に死んでしまったの?」と信じられない思いでした。
 他にはシモーヌがいきなり剣を習わされるところが印象的でしたし、最終回でマリー・アントワネットがギロチンにかけられるのも史実を知らなかっただけに衝撃的でした。


 2度目に見たのが1989年、つまりフランス革命200周年の年です。再放送を待ち望んでいたので張り切って毎日録画していたのですが、中盤つまらない話が続いたのでその分は消去してしまいました。でもそのときは成人していたので今度こそしっかりと見たつもりだったのですが、月日が経つにつれまたもや記憶が不確かになってしまったのは情けない話です。テープもラベリングしなかったので探すのも面倒ですし(爆)
 エピソードで印象に残ったのはザラールの悪役ぶりとオルゴールの秘密、それとシモーヌの身代わりになって死んだ親友ミシェルの悲劇ですね。

 それ以外に見ていて気になったのは登場人物の年齢です。冒頭でシモーヌは15歳でしたが、物語の進行に従ってかなりの年月が経過しています。だから最終回でシモーヌは30代になっているはずなのに、容姿は変わらないのです。もっと顕著なのはダントンで、相変わらずちびっ子のまま。ちょっと視聴者を甘く見ているなと感じました。

 アニメで特筆すべきは挿入歌の秀逸さですね。特に「泣くなシモーヌ」は大好きな曲です。

 ちなみに1989年には「ベルサイユのばら」の再々放送もありました。その3年前に再放送してくれたばかりなのに!放送してくれた局は「ラ・セーヌの星」と同じくテレビ東京。しゃれたことをやってくれる、と心の中で拍手をしました(^_^)。


 このようにアニメの記憶があやふやなのでコミックスとの比較が難しいのですが、少なくとも第1巻はかなりアニメに忠実だと思います。2巻以降もマリー・アントワネットとの出会い・ミシェルの死・オルゴールが燃えてしまったエピソードなどは見覚えがあるのですが、他は初めて見るような気が・・・(^_^;)。

 コミックスの感想は、絵は可愛らしく私好みなのですが、ストーリーが殺伐としすぎて精神衛生上は良いとは言えません。あまりにも悪役が多すぎますし。それに、少女漫画にありがちな意地悪ではなく、金儲け・権力・逆恨みなどで簡単に人を殺しますから!しかも狙われる人は主人公の親代わりや親友で、次々と命が奪われるので読んでいて辛いし腹が立ちます。

 それでも最後に大団円が待っていたら救われるのでしょうが、未完に終わっていますしね(^_^;)。もっともアニメのコミカライズだから、最後まで描かれてもハッピーエンドはありえませんが・・・。

 ストーリー以外では、ルイ16世やアントワネットが「ベルばら」に似ていることが好感を持てました。池田理代子先生に敬意を示している証拠でしょうか?

 先に「精神衛生上よくない」とは書きましたが、「面白くない」という意味ではありませんし、個人的には漫画として稚拙とは感じませんでした。アニメ版をあまり覚えていないせいかもしれませんが、読んでがっかりはしなかったので、皆さんも機会があったら見てみてください。









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